〔ぶらりすすき野――6〕
ヒマラヤの青い空を映す幻の花
梅雨あけ。高い峰々を越えてわたってくる透明な音が聞えてきませんか。
そのヒマラヤの秘境に咲く幻の花、神秘の花をご紹介しましょう。
たまプラーザからあざみ野へ。
美しが丘5丁目、あのケヤキ並木の坂道をくだってほぼ中間、
ガソリンスタンドのところを右折し陸橋を渡ってすぐ右、
おし花レストラン「ホワイトガーデン」へ。
「ヒマラヤの青いケシ」または「チベットの青いケシ」と呼ばれます。
メコノプシス・ホリドゥラ Meconopusis Horridula
ケシ科メコノプシス属の花で宿根草。
限りなく透明なブルー。さわやかな、幻想的なブルーでしょう。
その神々しさはヒマラヤ登山家たちの夢の花とされています。
葉にも茎にも細かな毛が密生しています。
多くはエベレストの5700メートル附近で見られ、
中国の雲南省から四川省にかけての大雪山山脈が主産地。
ふつう、北緯50度以北の地で栽培される花。
日本には1960年代に入ってきました。
北海道を除く地域での栽培はむずかしいとされていますが、
写真のこの青いケシは横浜のこの地、「ホワイトガーデン」で見たものです。
じつは北海道上川郡美瑛町で栽培していた100輪を空輸してきたもの。
「ホワイトガーデン」は、NHKの番組「おしゃれ工房」でおなじみの柳川昌子さんのお庭。
ここには、おし花ギャラリーがあり、おし花教室が開設されています。
1階がカフェ。ちょっとシャレた、いや、かなりシャレたお店で、
これは美しい! さまざまなおし花作品の展示もあり、
2階が教室とギャラリーになっています。
隅から隅までまっ白。
三方を庭が囲み、東側は白いハーブ、北はハンカチの木、イチゴの木、
クチナシ、ジュンベリーなどの木と白い花の山野草類、
西の玄関まわりには一年草、多年草の白い花々…。
つまり、ふだんは白い花ばかりを集めたお庭なのですね。
清潔で、わたしのようなヨゴレが踏み込む雰囲気ではない。
ところが、この柳川さん、なんの気まぐれか、「青いケシ」に惚れてしまって
北海道上川郡にもっているお花畑で数年前から栽培、
どうにか成功して今回鉢ごと空輸して横浜まで持ち込んだということらしい。
青いケシは、おおきく庭に開いた洋室の片側に鉢植えのまま置かれていました。
とくに冷房はしていなかったと思います。
ハーブの香りにつつまれ、さまざまな花たちの微笑みをあびつつ、
ゆったりとお茶とケーキを愉しみ、はるかなヒマラヤの空を想うひととき。
もう時期をすぎてしまいましたが、6月初旬が見ごろ。
1990年の大阪花博ではこのブルーポピーが最大の呼び物だったようですね。
ガラスケースに容れて15℃に保って保管していたとか。
ふつうは風とおしのよい日陰に置くようです。
25℃以上になるとこうした澄んだ青にはならず、
赤がかって紫っぽくなっていまうとか。
…えっ、ケシを栽培するのはいけないんじゃないかって?
ええ、麻薬に結びつくため禁じられています。
ですが、これは麻薬とはぜんぜん関係ありません。
「メコノプシス」属とはラテン語で「ケシに似る」という意味。
「ケシ」属となると問題なのですね。
なお、ホームホページでこの教室のことを精しく紹介していますのでご紹介いたします。
http://www.yanagawa.co.jp
”White Garden”から入ってみてください。